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エラッド氏のSEC委員への就任がビットコインETFに関する事柄に及ぼす影響

メーン州の共和党員エラッド・ロイズマン氏のSEC委員への就任が本日上院で承認される。これによりトランプ政権下でのSEC委員の任命は4例目となる。ロイズマン氏は、7月に開催された上院銀行委員会の公聴会で、同委員会による暗号通貨に関する一連の画期的な決定に関して次のように述べている。

「 …SECは、規則、規制、ガイドラインが、SECの使命を達成するために有効なものであることを何度も確認する必要があります。これは、データ保護やサイバーセキュリティの分野で、イニシャル・コイン・オファリングやブロックチェーンといった新しい投資技術の出現に伴い、最近になってようやく明らかになってきました。SECが確実になすべきことは、これらの新たな課題に公正かつ透明な方法で取り組み、市場と投資家に明瞭さと確実性をもたらし、市場参加者が負うべき責任が明確に定められた法律および規制を施行することです。」

ロイズマン氏は過去の候補者達と同様に、上院における承認手続きの過程で、自身のイデオロギーを示していない。ビットコインETFに対する委員就任予定者の立場は、少し調べれば、ある程度は把握することができる。しかし我々が最初にすべきことは、決議の時点におけるSECの構成を思い描くことである。

トランプ政権下における共和党員のSEC委員への任命は、ロイズマン氏の任命により2例目となり、全党派を含めると4例目となる。トランプ政権下におけるSECの現構成を以下に示す。

委員長 — ジェイ・クレイトン氏 (無所属)

委員 —ロバート・ジャクソン・ジュニア氏 (民主党)

委員 — へスター・ピアース氏 (共和党)

委員 — エラッド・ロイズマン氏 (共和党)

クレイトン委員長は、正式には無党派として登録されているが、共和党によって任命されており、共和党員であるとみなされる。オバマ政権時代からの残留者の最後の一人であるカラ・スタイン氏の任期は12月で満了する。トランプ大統領がスタイン氏の後任者として民主党のアリソン・リー氏を任命するという噂があるが、本記事の執筆時点ではそのような任命は行われていない。民主党の上院議員はすでにロイズマン氏の承認に向けて動いており、定員4名のSEC委員に共和党員を任命すれば、3-1で共和党を事実上の多数派とすることができるのに、トランプ大統領がスタイン氏の後任者を民主党から任命すべき理由は見当たらない。

先物ベースのビットコインETFの申請が3件行われている旨が最近公表されたが、その審査のスケジュールは明らかにされていない。しかし16ヶ月を要したウィンクルボス案件の審査をはじめとする最近の事例から、年内の決定は難しいことが予想される。コミュニティが待ち焦がれているSolidX / VanEckによるビットコインETFの申請に対する決定は、3月上旬になる予定である。いずれのビットコイン ETF申請においても、その可否判定がいつ発表されてもおかしくはないが、スタイン氏がSEC委員を退任した後の12月以降となる可能性が高い。

SECは、申請の増加によってもたらされた停滞感を打破するために、ETFに関する初回判定を取引市場部に一任しており、取引市場部はSolidXの申請に対する判定を行うことになる。しかし最も重要視されるのは委員達の意見である。取引市場部は、その判定が委員会の審査によって覆される可能性や、そのような審査における委員投票の方法の検討を行う。SolidXの申請は、前回のビットコインETFが却下された時と同じ理由で、つまりビットコイン市場における根本的な規則の欠如と、相場操縦の事実の認識を理由として却下され、再審査となり、取引市場部への判定の委任における当初の目的が無に帰すことが予想される。よって、SolidXの申請に対する初回判定は、現職委員の意見が厳密に反映されたものとなるだろう。

ステイン氏退任後のロイズマン氏の就任により SECの力学は大きく変化する。ウィンクルボス案件における承認審査は、クレイトン委員長、民主党員2名、共和党員1名による投票により、3-1で否決されているが、(ロイズマン氏の就任後の)クレイトン委員長、共和党員2名、民主党員1名による投票の結果は、とりわけSolidX案件のような説得力のある申請に関する決定においては、大きく異なったものになる可能性がある。

ロバート・ジャクソン・ジュニア氏 (民主党) — 否認
ジャクソン氏はビットコイン ETFまたは暗号通貨全般に対するサポートを公言していない。同氏はウィンクルボス案件の承認におけるSEC審査において反対票を投じており、SolidXの申請においても否認する可能性が高い。

へスター・ピアース氏 (共和党) — 承認
ピアース委員は経済的自由と限定的な規制監督体制を提唱している。同氏は、委員に任命される前の2004年から2008年にかけて、ポール・アトキンスSEC委員の顧問を務めていた。2008年にSECから退き、リチャード・シェルビー上院議員の下で上院銀行委員会の上級顧問を務めていた時にはドッド・フランク法の実装に携わり、金融危機後の金融規制改革の取り組みを監督した。2012年には、『Dodd-Frank, What It Does and Why It Flawed (ドッド・フランク法 – その結果と失敗の理由)』を出版している。同書は上院銀行委員会での経験に基づいて執筆されたものである。

ウィンクルボス案件の否認に異議を唱えたのは、ピアース氏のみであった。その異議は、綿密な調査に基づいてよく練り上げられた、雄弁で公正なものであった。彼女のスタンスは、1934年の証券取引所法に定められている範囲にSECの義務を限定することを良しとしたうえでビットコイン/暗号通貨を支持するものではない。同氏は、その異議の中で次のように主張している。

「この決議を受け入れたら、証券市場の規制という限られた役割の範囲内で行動することをSECが約束したことになります。SECの任務は従来から変わらず、投資家が賢明な投資判断を下すために必要な情報を得られるようにすること、相場操縦を防ぐために市場参加者間のやり取りにおける透明性を確保し、取引規則を設けることであり、今後もそうあり続けるべきです。」

ピアース委員はウィンクルボス案件の承認に投票した時と同じ理由でSolidXの承認申請を支持することが予想される。

エラッド・ロイズマン氏 (共和党) — 承認
ロイズマン氏の経歴は、ピアース委員のそれと著しく類似してる。同氏は現在、マイク・クラポ上院議員の下で、上院銀行委員会の首席顧問を務めている。ピアース氏と同様、上院銀行委員会での職務において、ドッド・フランク法に(具体的にはドッド・フランク法を縮小するための法案の作成に)膨大な時間を費やしてきた。その前は、ダニエル・ギャラガーSEC 委員 の顧問であり、その点においても、ピアース氏と類似している。ギャラガー氏は、フィンテック改革の提唱者として知られており、2016年にSEC委員を退任し、ブロックチェーン会社Symbiontの役員に就任している。

ロイズマン氏はビットコイン ETFに対する賛否について具体的にコメントしていないが、SECの役割に関して、ピアース委員と極めて類似した思想をもっている。ロイズマン氏は7月の上院銀行委員会で次のように語っている。

「弱者にとって不利となる不正な市場操縦が行われているという認識があり、SECはそのような認識の払拭に取り組む必要があると思います。」

ロイズマン氏はピアース委員と同じく、SolidXの申請を承認することが予想される。

ジェイ・クレイトン氏 (無所属) — 承認
クレイトン委員長は12月に暗号通貨とICOに関する声明を発表している。その声明の中で同氏は次にように述べている。

「我々はSECで資本形成の促進に取り組んでいます。暗号通貨とICOの根柢をなす技術は、混乱を招いた後に変革を起こし、効率性を改善するものであることが判明するかもしれません。フィンテックの発展により、資本形成が促進され、機関投資家だけでなく、メインストリートの投資家にも同様に、有望な投資機会がもたらされることを確信しています。メインストリートの投資家には、それらの機会に対して心を開いてほしいと思います。ただしその際には、適切な質問を投げかけ、明確な回答を求め、常識的な行動を心掛ける必要があります。」

暗号通貨規制におけるクレイトン委員長のこれまでのアプローチは、計画的で、慎重かつ公正なものであり、純粋に、SECの責務であるイノベーションの促進と投資家の保護を優先しているだけように思われる。

クレイトン委員長は、当時の委員会が、自身のほか、民主党員2名と共和党員1名で構成されていたため、ウィンクルボス案件を否認するしかなかった。彼がピアース氏の側について承認していたならば、2–2の同点となり、規制に対する取り組みは停滞状態に陥っただろう。委員長が自身の投票によって停滞状態をもたらす可能性は非常に低い。委員達は自身が所属する党の方針に沿った票を投じる可能性が高く、そこには政治的な問題が絡んでくる。規則制定における課題の解決が行き詰ると、委員長の職務全般が非常にやりにくくなる。

ウィンクルボス案件は委員長が多数派についたことにより否決されたが、SolidXによるはるかに有望な提案が間近に迫っていることにより、手詰まり感は回避された。

SolidXの申請は、共和党員のピアース 氏とロイズマン氏が承認票を投じ、クレイトン委員長がウィンクルボス案件におけるスタンスとは逆の立場を取ることによって可決されるだろう。クレイトン委員長がジャクソン氏の側について否認すれば、規制に対する取り組みは停滞状態に陥いり、自身と同じ共和党員の側について承認すればビットコインETFが可決する。したがって筆者は、SolidXの申請は承認されると予想している。

ロイズマン氏がSEC委員に就任し、 3–1で共和党が多数派となれば、SolidXの申請は取引市場部によって3月までに承認される。最近の先物ベースのETFに関する決議でもそうであったように、委員会で否決されても審査が再開され、最終的には投票によって3–1で可決されるだろう。

夏の間、暗号通貨コミュニティはビットコインETFが承認されるかもしれないという期待で沸き立っていた。そのような状況の中でのウィンクルボス 案件の否決は青天の霹靂であり、意気消沈の後に麻痺をもたらした。市場は当初、SEC決議の延期が発表される度に、活気に満ちた状態から瀕死の状態へと様変わりしていたが、最近ではほとんど動じなくなっている。この現象は、市場の成熟、あるいは人々が暗号通貨においてはETFが不要であることに気付いたことを示唆していると考えられる。暗号通貨市場は、ETFや組織的な関与がなくても、10年経たないうちに数千億ドルの時価総額を達成している。しかしETFの承認に向けた取り組みは今も続いており、最終的には成功することが予想される。ビットコインETFの出現は、市場の正当性に対する認識や組織による投資額、そして最終的にはビットコイン価格に莫大な影響を及ぼすだろう。それはいずれわかることである。そこに向かう道程は、エラッド・ロイズマン氏のSEC委員への就任が承認された本日から始まったばかりである。

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