海外情報

ゴールドマン・サックスがビットコイン取引業務を開始

サンフランシスコ — ほとんどの大手銀行はスキャンダルにまみれた仮想通貨ビットコインから十分に距離を置こうと努めてきた。

しかし、金融領域でおそらく最も令名の高いゴールドマン・サックスがリスクを冒し、ウォール街の銀行として初のビットコイン取引業務のように見えるものを開始する計画を推し進めている。

仮想通貨に正当性を付与する可能性のある、と同時にゴールドマンにとっての新たな懸念を生み出す可能性のある道筋だが、同行は自己資金を用いて、ビットコイン価格に連動した種々の取引において顧客との取引を開始しようとしている。

当初はゴールドマンがビットコインを実際に売買することはないが、同行のチームは、規制機関の認可が得られ、仮想通貨保有に関する追加リスクに対処する方法を突き止めることができれば、その方向へと歩みを進めていくことを検討している。

ゴ​​ールドマンの管理職で取引業務の創出を監督するラナ・ヤレッドによれば、同行は入り込もうとしている状況への適切な理解を有している。

「ビットコインが世界を支配するという考えに目覚めた本物の信者、と自分自身を規定するつもりはまったくありません。関わっているほとんどの人が個人的には懐疑を抱いていると述べました」とヤレッド女史は語った。


ゴールドマン・サックスのビットコイン業務を運営管理するジャスティン・シュミット(左)、主要戦略的投資担当バイスプレジデントのマリアンナ・ルぺ=シェ、研究開発責任者ニーマ・ラファエル。

そうはいっても、ウォール街で最大級の賛辞を与えられている銀行にして、批判の的になることの多いゴールドマン・サックスがビットコイン取引まで検討していると示唆するのは、数年前なら非常識と見されただろう。当時ビットコインは主にオンラインで薬物を購入するための方法として知られていた。

ビットコインはサトシ・ナカモトの名で通っている匿名の人物が2009年に創出した。彼はウォール街の銀行に新たな収益ラインを提供することではなく、 それに取って代わることについて語った人物だ。

だが、この2年間、世界中のますます多くのヘッジファンドその他の大規模投資家が仮想通貨への関心を表明した。スクエアなどのハイテク企業は顧客へのビットコインサービスの提供を始め、シカゴの商品取引所は12月から顧客によるビットコイン先物取引を開始している。

しかし、規制を受ける金融機関は従来ビットコインを避けて通ってきた。なかには、ビットコイン取引を行う顧客の口座を閉鎖した金融機関もこれまでに存在した。JPモルガン・チェースのジェイミー・ダイモン最高経営責任者(CEO)がビットコインを詐欺呼ばわりしたのは有名だが、他の多くの銀行のCEOもビットコインは投機的バブルに過ぎないと語ってきた。

ビットコインは詐欺ではなく、また、通貨の特徴を有していない、というのがゴールドマンの結論だったとヤレッド女史は語った。ところが、複雑な仮想システム内で「採掘」可能な量が限られていることを前提に、多くの顧客が金に似た金銭的価値を有する商品としてのビットコインの保有を希望した。

「 『価値の代替貯蔵法だと思うので、ビットコインかビットコイン先物を保有したい』と顧客が述べ、弊社もそれに共鳴しました」

ヤレッド女史によると、同行はヘッジファンドだけでなく、できたてほやほやのビットコイン百万長者から仮想通貨による寄付を受けたもののその取り扱い方を知らない基金や財団からも、照会を受けたという。ビットコイン取引を開始するという最終決定は、ゴールドマンの取締役会で承認された。

前途には多くの不確実性が漂っている。ビットコイン価格は主に、市場操作を防止する対策がほとんど整備されていない海外諸国の、規制を受けない取引所で定められる。

年初来ビットコイン価格は急落し、その後かなり回復したが、これは規制機関が仮想通貨をどのように扱うかの点での不確実性にトレーダーが直面していたためだ。

「私たちが理解できない新たなリスクではありません。これはよりいっそう警戒する必要がある、高まったリスクに過ぎません」と女史は語った。

ゴールドマンは既に地域のほとんどの銀行よりも多くのことを行っており、シカゴ・マーカンタイル取引所とシカゴ・オプション取引所でビットコイン先物の売買を希望する顧客のために取引の清算を行っている。

正確な開始日はまだ確定していないが、今後数週間以内にゴールドマンは自己資金を用いて、顧客のためにビットコイン先物取引を開始する。また、ノンデリバラブル・フォワードとして知られる、先物のより柔軟な形態も独自に編み出して、顧客に提供する。


ビットコイン業務の創出を監督する管理職のラナ・ヤレッド「私たちが理解できない新たなリスクではありません。これはよりいっそう警戒する必要がある、高まったリスクに過ぎません」

同行初の「デジタル資産」トレーダーのジャスティン・シュミットがゴールドマンに入社したのは2週間前で、日々の業務を処理することになる。この雇用はTearsheetで最初に報じられた。シュミット氏(38)は前職で、ヘッジファンドのセブン・エイト・キャピタルの電子トレーダーを務めた。2017年にその仕事を辞め、自己保有の仮想通貨の取引に専念した。

氏は当初ゴールドマンの外貨部局に配置されるが、これはビットコイン取引が新興市場通貨の動きに最もよく似ているためだ、とヤレッド女史は述べた。

同行が連邦準備銀行とニューヨークの当局から規制上の認可を得られた暁には、シュミット氏は現物ビットコイン、あるいは、やや皮肉っぽく呼ばれて実物ビットコイン、の取引を見据えている。

多数のビットコイン取引所で発生したハッカーによる窃盗が起こることのない、顧客のビットコインを確実に保管する方法も発見しなければならない。顧客ビットコインの保管における現在の選択肢はまだウォール街の基準を満たしていない、とシュミット氏とヤレッド女史は述べた。

ゴールドマンは複雑な商品の取引で限界を超えることで知られる。同行はサブプライム住宅ローン市場と結びつけたいわゆる合成デリバティブによる高収益の取引に関して、金融危機後に相当な批判に直面した。

同危機以後、ゴールドマンはウォール街で技術的に最も先端的な企業となるべく大いに邁進してきた。なかでも、マーカスという名称のオンライン融資サービスを開始した。これにより同行は初めてリテール顧客と接触をもつことになった。しかし、仮想通貨取引は大規模機関投資家のみが利用できる予定だ。

仮想通貨世界に存在していた他の多くの機会にもかかわらずこの職に耳を傾けた理由の大きな部分は、ゴールドマンが先端的な企業になったことだった、とシュミット氏は語った。

「信頼の置ける機関プレーヤーを擁するという点で、私自身の暗号通貨取引の過程でそのようなものを探し求めていましたが、ついぞ存在しませんでした」

 

関連記事

  1. 海外情報

    中国の別の都市が大規模ブロックチェーン投資ファンドを支援

    中国の深圳市がブロックチェーンに特化した投資ファンドを支援するのは、杭…

  2. 海外情報

    Jack Dorsey、デジタル通貨としてのbitcoinの未来に信頼を寄せる

    Bitcoinの取引速度をあげる提案が、Jack Dorseyの後押し…

  3. ブログ

    Segwit2を中心とした現在のビットコインのスケジュール。

    Segwit2を中心とした現在のビットコインのスケジュールに関する海外…

  4. 海外情報

    メキシコ議会は、仮想通貨クラウドファンディング規制法を承認

    メキシコ下院議会は先日、同国のファイナンス・テクノロジー(フィンテック…

  5. 海外情報

    韓国の暗号通貨取締官、自宅で死亡

    ウォールストリートジャーナルに掲載された韓国政府報道官の説明によると、…

最近の記事

2018年7月
« 6月    
 1
2345678
9101112131415
16171819202122
23242526272829
3031  
PAGE TOP