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Telegramが考える、自社のICOの失敗につながる8つの要因

Telegramの野心的なブロックチェーンプロジェクトが失敗しても、投資家は何の警告も受けなかったと主張することができなくなった。

Telegramのイニシャル・コイン・オファリング(ICO)は史上最大規模になることが予想される。それに先立ち、ホワイトペーパーや技術文書とともに、9ページにわたりトークン購入に伴うリスクが長々と綴られた覚書が、潜在的な投資家たちに配布された。従来型市場で活動してきた投資家たちにとって、同じ内容が何度も繰り返されるリスク警告文は見慣れた光景である。そこには考えられる限りのあらゆる失敗の原因が網羅されている。

しかしCoinDeskが入手したTelegram文書の内容は目を見張るものであった。株式の売り出しは行われず、トークンはユーザー間の支払いや、Telegram Open Network (TON)上で提供される予定の様々なサービスにアクセスするために使われるという。

Telegramによる多数の警告が余すことなく盛り込まれた覚書の配布は、25億ドルに上ることが予想されている、同社のICOの莫大な規模を踏まえてのものだろう。

したがってCoinDeskは、「Gramの購入、販売、使用に伴う一定のリスク」という法律家然としたタイトルが付けられた覚書に記載されている、最も際立ったリスクのいくつかをまとめてみた。

 

1. 規制の不確かさ
ICOを追跡してきた投資家であれば、規制機関の行動には不明な部分が多く、予測しにくいことは、わかっているはずである。覚書にも「このような技術が、政府当局によってどのような形で規制されるのか、あるいは何らかの規制が適用されるのかどうかを予測することは難しい」と記載されている。

また、政府によってTelegramが流動性の条件を課せられる可能性や、Gramが登録を必要とする規制対象の株式の一種とみなされる可能性についても言及されている。さらに、ある国で厳しい義務負担が伴う厄介な規制が設けられた場合、Telegramはその国から撤退するか、プロジェクトを閉鎖することもあり得ると述べられている。

他方、Fantasy Sportsのブロックチェーンプラットフォーム「MyDFS」のCEOであるビクトル・マンガジーブ氏は、Telegramは競合する他のメッセージングプラットフォームよりも規制上優遇される可能性があるため、今回のような資金調達イベントに向いていると語っている。

市場にはTelegramよりも規模の大きいメッセージングアプリがいくつか出回っている。しかしFacebook MessengerやWhatsAppのようなリーダーが拠点としているのは、暗号通貨に対する姿勢が及び腰である米国である。WeChatも有力なプラットフォームの1つであるが、その拠点である中国は最近、暗号通貨を目の敵にする姿勢に転じている。

マンガジーブ氏は、この2カ国以外を拠点とする人気のあるメッセンジャーの中で「技術的に最も有望なのはTelegramである」と主張している。

(Telegramの本社の場所を突き止めるのは難しい。同社がSECに提出した書類の名義は、バージン諸島を拠点とする「Ton Issuer」であり、Crunchbaseでは、Telegramの現本拠地はロンドンであるとされている。)

 

2. 法的・規制的な要因
覚書には「TON Blockchainは、現在策定中の新たな法規制環境で運用される予定である。ブロックチェーンやスマートコントラクトに関する、確立された法典や判例は存在しない」と述べられている。

次に、トークンセールが終了してから、TON Blockchainが本格稼働するまでの間に、政府が暗号通貨に関連する新たな許可の適用を思いつく可能性を含め、許可が必要となりうるあらゆる状況に関する説明が続いている。

 

3. 官民の行動
このようなプロジェクトに対して最も不安を覚えるのは米国の規制機関であり、早期の段階で法的手段に訴えること(訴訟)によって取り締まろうとする可能性は、他国よりもはるかに高いだろう。そうする方が、新たな規制の公布手続きを踏むよりも手っ取り早いからだ。

仮想通貨のファンド・オブ・ファンズ「Bitbull Capital」のジョー・ディパスクエール氏は、SECのレーダーに引っかかることを懸念し、自身はまだGramを購入していないことをCoinDeskに告白している。

同氏はEメールで、次のように忠告している。「今回のICOが最大規模になると予想されていることを踏まえると、SECがTONに対して細心の目配りをしていると考えるのが妥当です。ICOに参加する人々はそのことを肝に銘じておくべきです。」

同社はこのセールにSimple Agreement for Future Tokens (SAFT)と呼ばれる契約構造を適用する予定である。これまでは、SAFTを適用すれば、米国の証券法と衝突することなくICOを行うことができると考えられてきた。しかし今後SECがSAFTを不都合と判断した場合、この最大のICOは困難に直面するだろう。

 

4. TONの開発とローンチ
覚書には「TelegramはTON Blockchainの開発に必要な技量と専門知識を備え、このプロジェクトをローンチに至らしめることができる開発者を確保し続けることができないかもしれない」とも述べられている。

投資家にとってラッキーなことに、覚書には返金規定も盛り込まれている。しかしTelegramには自社のためのあらゆる用途に資金を使う権利があるとされている。

 

5. ブロックチェーンに特有のリスク
覚書では、コード内に間違いが存在する可能性を含む、オープン型のブロックチェーンに特有のリスクについて詳述されている。

また、量子コンピューティングによって暗号が解読されるおそれや、大規模な変更が必要になった時にノードがそれらの変更に対応することができずシステムが故障する可能性についても言及されている。

 

6. TONとTelegramの統合
Telegramの大規模でアクティブなユーザーベースに後押しされ、このオファリングの人気が高まっていくことは間違いない。しかし何らかの理由により、同社のモバイルメッセンジャーがTON Blockchainと統合されなかった場合、「Telegram Messengerの既存のエコシステム内での、Gramにおける通貨としての用途は、予想以上に限られたものになるかもしれない」と覚書には綴られている。

いくら控えめに言っても、そのような実用性の低いユーティリティトークンが、多くの人々に採用されるようになるとは考えられない。しかし、ブロックチェーンと統合されているアプリが多数市場に出回っていることから、上述のリスクが生じる可能性は極めて低いように思われる。

 

7. 発行者、資金の用途
Telegramは、自社による資金の用途に一切の制限を設けていない。したがってTONの構築に失敗し、トークン購入者との契約を解除する必要に迫られた時に、Gram保有者に払い戻すべき資金を使い果たしてしまっている可能性がある。

デューロフ氏がTelegramを開始する前に設立した、ロシアのFacebook に相当する「VKontakte」の前最高技術責任者アントン・ローゼンバーグ氏は、この制限の欠如により、たとえ今後ブロックチェーンを提供する可能性がなくなっても、Telegramはメッセージングアプリを強化するために集めた資金を別の用途に使用することができると語っている。

「今から10年後には、例えばサーバーの購入により、すべての資金が使い果たされてしまっているかもしれません。」

投資家にとっては気休めにすぎないかもしれないが、現時点では、Telegramのプロジェクトは今後も妥当であるとみなされ続けることは確実であるように思われる。

 

8. ブロックチェーンと仮想通貨が受け入れられることの難しさ
本記事は、覚書に記載されているいくつかの事柄をまとめたものにすぎない。よってその内容をFUD (恐怖、不安、疑念を煽る戦術)とみなさないでいただきたい。上述のリスクはどれも生じうるものである。

Telegramのリスク文書には、最も重要な脅威、つまりGoogleやAppleのストアで同社モバイルアプリが取り扱われなくなる可能性が言及されていない。

これについて グリノビッチ氏は次のように記述している。

「最悪のシナリオも考えられます。自社が関与しない金融取引は承認しないという理由でApple StoreとGoogle PlayでTelegramアプリが取り扱われなくなった場合、それによって離れてしまったオーディエンスを取り戻す手助けをしてくれる裁判所は世界のどこにも存在しません。」

他方、分散型市場分析プラットフォーム「Cindicator」のCEOであるマイク・ブーロフ氏は、人々は業界全体が活気づくことを信じてTelegramに投資しているとCoinDeskに語っている。

以下は同氏のコメントである。

「(Telegram のICOは)市場に大躍進をもたらし、多くの注目を集めることは間違いありません。したがってこれは、暗号通貨の信頼性、分散化の信頼性に対する信念への投資、エコシステムへの投資における、同社なりのやり方なのです。」

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